ピロリ菌
当院のピロリ菌治療では、胃がん発生にも関わっているとされるヘリコバクター・ピロリ菌感染の有無を調べる検査や、除菌治療を行っています。
ヘリコバクター・ピロリ菌について
ヘリコバクター・ピロリ菌(通称ピロリ菌)は、胃や十二指腸の潰瘍など消化器疾患の原因であり、免疫や皮膚に関する疾患にも関与している疑いが指摘されています。そして、世界保健機関(WHO)の専門組織「国際がん研究機関」は、全世界の胃がんの約8割がピロリ菌感染を原因としているという報告書を2014年に発表しており、除菌治療に注目が集まってきています。
やや減少傾向にあるとはいえ、日本ではまだピロリ菌の感染率が高いため、感染がわかった場合には除菌治療をおすすめしています。
両親が胃や十二指腸潰瘍、胃がんだった場合、高率でピロリ菌を持っている可能性があります。ただし、感染していてもお子様を持つ前に除菌治療に成功すれば、次世代に感染を伝える可能性はほとんどなくなります。除菌治療はいわば新しい胃がんの予防法であり、ワクチンのようなものだといえます。
こうしたことから、平成25年2月より、慢性胃炎の方のピロリ菌検査と除菌治療は保険適用になっています。
ヘリコバクター・ピロリ菌検査方法
当院では3種類の検査を行っています。
- 迅速ウレアーゼ法
胃内視鏡検査時に組織を採取して、調べます。 - 鏡顕法
胃内視鏡検査時に採取した組織を染色し、顕微鏡で感染の有無を調べます。 - 抗体法・抗原法
スクリーニングに用いられる検査法で、最も安価ですが、診断を確定するためには別の検査を改めて受ける必要があります。血液や尿の抗体を測定する方法と、便に含まれる抗原を測定する方法があります。
ヘリコバクター・ピロリ菌専門外来
当院では胃内視鏡検査の際に、ピロリ菌の感染検査を受けることが可能です。感染が確認された場合には、除菌治療も受けられます。
※平成25年2月より保険診療の適用拡大が行われ、ピロリ菌の検査や除菌治療に関して保健診療の対象となる方の条件が変更されています。
以前の条件
胃内視鏡検査で、胃十二指腸潰瘍など、指定の数疾患を確認。
現在の条件
胃内視鏡検査で、慢性胃炎を認めた場合。
また、検査でピロリ菌感染が認められた場合も、保険診療で除菌治療が可能です。
ご注意
- 6ヶ月以内に人間ドックなどで胃内視鏡検査を受けており、慢性胃炎の診断を受けている場合には、ピロリ菌検査を保険診療で受けることができますし、それで感染が確認されたら除菌治療も保険診療となります。
- 1回目の除菌治療が失敗だった場合、2回目の除菌治療も保健診療となります。
- 他の医療機関でピロリ菌の除菌に1度失敗した場合、6か月以内に胃内視鏡検査を受けていれば、2回目の治療は保険診療が適用されます。
上記以外の場合は自費診療となりますが、条件が細かいためまずはお問い合わせください。
自費診療となる例
- 胃内視鏡検査を受けたくない場合
※ピロリ菌に感染していた場合、すでに胃がんが発生している可能性もあります。そのため、胃内視鏡検査をおすすめしています。 - 3回目以降の除菌治療をご希望の場合
- 通常の除菌治療で使用されるクラリスロマイシン(クラリス)、サワシリン(ペニシリン系抗生剤)にアレルギーがある場合
※以前除菌治療を受けている方で、服薬中にじんましんや湿疹が出現して治療を中止した経験がある方は薬剤アレルギーが疑われます。他の除菌方法が必要かなどを検討するためにも、まずはお問い合わせください。
除菌治療の流れ
Step1
抗生剤2種類と胃潰瘍治療剤(PPI)を1週間服用するだけです。
副作用
- 味覚異常(約30%)
- 下痢(約13%)
- じんましん(約5%)
- 肝機能障害(約3%)
服用中に異常があった場合はご連絡をお願いしています。
特にアレルギーとみられる症状(じんましん、皮膚の腫れ、息苦しさ、咳や喘息など)が起こった際はすぐに服薬を中止してご連絡ください。
Step2
除菌が成功したかどうかは、すぐにはわからないため、当院では服用終了した1ヶ月後以降に判定検査を行います。除菌が成功していたら治療は終了です。なお、1回目の除菌治療が成功する確率は、70~80%です。
Step3
1回目の除菌治療が成功しなかった場合、ご希望される場合には、薬剤を変更して2回目の除菌治療を行います。
抗生剤のうち、クラリスをメトロニダゾール(商品名:フラジール)に替えて服用しますが、服用期間は1回目と同じ1週間です。
Step4
判定検査も1回目同様、服用終了した1ヶ月後以降に行います。1回目の除菌治療と2回目の除菌治療を合わせた成功率は97~98%であり、ほぼ成功します。ただし、2~3%は失敗するケースがあり、当院ではご希望される方に自費治療の3回目、4回目の除菌治療も行っています。5回目の除菌治療で成功したケースもあります。